Sicilia
Bonavita
ボナヴィータ
2006年より、ジョバンニ スカルフォーネはメッシーナの内陸ファーロスーペリオーレにて栽培・醸造を開始。わずか1haあまりの畑には50年を超えるネレッロマスカレーゼ、ネレッロカプッチョ、そしてファーロの心臓ともいえる地品種ノチェッラ。祖父、曾祖父の頃より自家消費用のブドウを作り続けてきた経緯から、一度たりとも農薬や肥料を使ったことがない。強い太陽が生む果実の凝縮、それに引けを取らない豊かな酸は間違いなくファーロ特有の、いわばノチェッラの特徴を見せてくれる。醸造では極力手を加えない方法を取り、果実の持つ香り、味わいを最大限表現。あまりの生産量の少なさ(もう、心配になってしまうほどに)とは裏腹に、彼の追及力と醸造哲学には驚かされてばかり、。穏やかさとは裏腹に、揺るぎない決意と信念を持つ造り手。
穏やかなる意思表現、ジョバンニほど柔軟な思考と強い気概を内在している造り手はいない。シチリアの北端、メッシーナの内陸にある町ファーロ スーペリオーレ。 100 年前はシチリア有数のワイン生産地域であったにも関わらず、現在 DOC Faro を ボトル 詰めしている
カンティーナは彼を含めわずか 3 つ。シチリア最古の DOC でありながら最少の DOC という
複雑な背景を持つ地域。 2005 年、ジョバンニ スカルフォーネは母の受け継いできた 1ha
ほどの土地「 Bonavita 」にて、本格的なブドウ栽培とワインの自家醸造を開始する。 コントラーダ と 呼 ば れ る この小さな 土地は、代々家庭用として野菜やオリーブ、ブドウを栽培 。 今まで一切の薬剤や肥料を使わずに守ってきた土地。彼自身、幼い頃からこの畑で野菜 やブドウの栽培に携わったことは、彼の一貫したフィロソフィを形成したといってもいい。
標高が高く(300 m)北向きの斜面は、一見ブドウの栽培に不向きのように思える。しかし、シチリアの強すぎる日差しと高温から適度に果実を守り、メッシーナ海峡より吹き続ける北からの潮風は、果実に十分な酸と骨格を、そして南にある手つかずの山は、地域特有の南風シロッコ(アフリカ大陸から海を越えてやってくる、砂と水分を含んだ熱風。
醸造は自宅の地下室を改造した小さなカンティーナで行う。果実は一部除梗せず,
開放桶で 2 週間のマセレーション 果皮浸漬 を行い、自然酵母による醗酵を促す。
日々の攪拌を行いつつ 木樽にて 12 か月、
ボトル 詰め後 6 か月の熟成。ロザートは約 1 日( 24 時間)
のマセレーションを行い、自然酵母による醗酵。十分すぎる色素(アントシアニン)は、不安
定といわれるロザートの醗酵を非 常に安定させ、 SO2 の添加を全く必要としない。 すべて
の行為(栽培・醸造すべてを通して)に明確な必要性がある。反対を言えば必要のない行
為(薬品の添加や、醸造的な技術介入)をいかに排除していくのか、そこにジョバンニの考
えるワイン造りが見えてくる。果実の素晴らしさを失うことのない彼のワインには、本来の果
実や香りを失うことなく感じる。そして醸造・熟成によって更なる味わいをもたらしてくれる。
ワイン造りへの誠実さ、穏やかな意思表現を持ちつつ、自身の実践と考察から生まれる、
確固たる自信を内に秘めるジョバンニ。彼の目指すメッシーナのワイン造りの背景には、祖
父、父が味わってきたこの土地のワインがはっきりと描かれている。ファーロのワイン造りを
現在に継承しつつ、自分のワイン造りを突き詰めていく。まだまだ前途多難なこの小さなカ
ンティーナであるものの、今後の彼が目指す風景を楽しみにしていきたい。
Lineup
収穫後果皮と共に12時間、醗酵が始まるのを待ってから圧搾。一部セメントタンクにて醗酵を行う。果皮のタンニン、エキスを持った熟成の可能性を感じるロゼ。リリースより2年の熟成期間によって、素晴らしい状態になりました。気温の高いシチリアで、収穫を10月中旬まで待てることにも驚きます。完熟した果皮の持つ香り、複雑さ。魅力的なロザート。
収穫後、一部除梗せず果皮と共に大樽で40日間、ゆっくりと醗酵が進む。圧搾後、そのまま12か月大樽にて熟成。セメントタンクに移し12か月、ボトル詰め後4年以上。熟成期間を経たことも相まって素晴らしい状態です。
収穫後、除梗し果皮と共に30日間、セメントタンクにて醗酵を行う。圧搾後、そのままセメントタンクの中で12カ月、ボトル詰め後24カ月の熟成。DOCファーロを造る上で欠かせないノチェーラを、単一で醸造&ボトル詰め。重厚なタンニンと、野性味ある香り。ファーロの中核を担うオリジナリティあふれる赤。