Toscana
Fanetti
ファネッティ
ルネッサンス期の古い街並みが残る、歴史ある街モンテプルチアーノ。この土地で古くよりワイン造りを行ってきたファネッティ家。1920年代、当主アダモによって、「Vino Nobile di Montepulciano」という名が付けられた。のちにノービレの始祖となった家族でありながら、まったくもって堅実に、当時のワイン造りを継承してきた造り手。大型のセメントタンク、30年以上使い続けるイタリア産の大樽、、、etc。最低でも4年間を樽の中で過ごすという伝統のワイン造りは、今では明らかにマイノリティとして扱われてしまうことも少なくない。味わい、雰囲気、ボトルに至るまですべてに感じる懐かしさと素晴らしさ。時間をかける意味、変わらないことの大切さを再認識させてくれる造り手。
「変化しない」ということの良さ、歴史に裏付けられたワイン造りを貫き続けるカンティーナ。モンテプルチアーノは標高250 600m の丘陵地で、フィレンツェの南東に位置し、ウンブリアに近い。ブドウ栽培の歴史は古く、古くは中世より造られており、当時の生産量や販売について詳しく定められた資料も残されている。 17 世紀の詩人フランチェスコ レディの著書「バッコ・イン・トスカーナ」に登場する、「モンテプルチャーノは全てのワインの王」という記述や、フランスの作家デュマの「モンテクリスト伯」などにも登場することから、「 Nobile 高貴な」という言葉で表現されるようになっていった。1966 年に DOC 、 1983 年に 最初の DOCG の一つとして数えられた。
温度管理や酵母添加は行っていない。熟成はモンテプル
チアーノの町の地下深く続く、トンネルのようなカンティーナにて。昔から使い続けている大樽( 30 年、古いものは 60 年以上現役の樽もあるという話)による悠久ともいえる長い熟成を行っている。「本来のノービレは最低でも 4 年( 48 か月)は大樽で時間を過ごさせないとサンジョヴェーゼの持つ本来の香りは出てこない。だから私たちの造るノービレは現在の DOCG の基準だと、すべてがリゼルヴァと表 記することになってしまっている。」と嘆くエリザベッタ。祖父の頃より変わらない 6 年間というサイクルでリリースされる彼女のノービレ。また、過去のヴィンテージについても、相当な量をストックするという考えを持ち、古くは 60 年代(これ以前の物もあるようだが、ラベルが無かったり、コルクが傷んでいたり、ヴィンテージが明確にわからないという)より多くのストックが迷路のようなカンティーナに眠っている。
そして、もう一つの魅力ともいえるのが、地元モンテプルチアーノの町で昔から愛されているスフーゾ(量り売り)の雰囲気そのままのビア ンコとロッソを、少量ながらボトル詰め。大型のセメントタンク、野生酵母のみで醗酵を終えたビアンコ、ロッソはノービレに含まれない区画の果実を用いる。使わずに空いている大樽を使い熟成しており、なんとも味わい深く、どこか懐かしささえ感じる味わい。日々のテーブルを彩る存在ともいえるこの二つ、気取らない旨みと染み出す味わい。何かを突き詰めることでは辿り着かない、当たり前に美味しいモノ、変わることなく続けてきた事の大切さ、を再発見させてくれるカンティーナ。
Lineup
収穫後、約1日のマセレーション(果皮浸漬)、野生酵母による醗酵を促す。圧搾後大型のセメントタンクにて醗酵、途中オリ引きを行いそのまま12か月の熟成。50年以上全く変わらない手法のトスカーナビアンコ。時代や流行が目まぐるしく変わる中で、変わらずに存在し続けるファネッティのテーブルワイン。
樹齢の古い区画より収穫、ビアンコ サンタニェーゼとして醸造を行ったものの、ボトル詰めされることなく、セメントタンクにて約10年の熟成。2022年春にボトル詰め。収穫量に恵まれた2012年だけにおきた珍事ではありますが、ブドウの質が良かった分熟成にも耐えました。忘れられていたとは思えない素晴らしい表情と飲み心地を合わせもったビアンコ。
収穫後、大型のセメントタンクにて約2週間のマセレーション。野生酵母による醗酵を促す。その後オリ引きを行い、使い込んだ大樽(30hl)にて24か月の熟成。ノンフィルターにてボトル詰め。地域の伝統として、白ブドウも合わせて醸造される、トスカーナの日常的ワイン。
収穫後、大型のセメントタンクにて約2週間のマセレーションを行い、野生酵母による醗酵を促す。圧搾後、使い込んだ大樽(20~30hl)にて24か月以上熟成。途中適宜オリ引きを行い、ノンフィルターにてボトル詰め。
収穫後、果皮と共に2週間、野生酵母による醗酵を促す。
圧搾後、大樽(20~30hl)にて48か月の熟成。現行のDOCG規定ではなく、1915年に彼女の祖父であるアダモ ファネッティが定めたヴィーノ ノービレの醸造方法、期間を忠実に守っているため、現在では彼らの造るすべてのノービレがリゼルヴァとなってしまうという矛盾が生じています。変わらないことに徹底的にこだわった、正に「モンテプルチアーノの高貴なワイン」です。
収穫後、果皮と共に2週間、野生酵母による醗酵を促す。圧搾後、大樽(20~30hl)にて7年間の熟成。これまで地下15mのカンティーナで保管されてきた希少なバックヴィンテージ。
“San Giuseppe” ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ リゼルヴァ 1993年 赤 750ml
DOCGゾーンの中心に位置する特別な畑、「San Giuseppeサン ジュゼッペ」より収穫。厳しい選別を行ったブドウのみ、果皮と共に2週間、野生酵母による醗酵を促す。圧搾後、大樽(20~30hl)にて7年以上の熟成。収穫に恵まれた最良年のみボトル詰めされる、先代ジュゼッペ ファネッティが造る最高のヴィーノ ノービレ リゼルヴァ。1993はDOCGでいえば良年に当たるものの、サン ジュゼッペの畑では果実と酸のバランスが素晴らしい年。溢れんばかりの熟成香、最高の状態です。
“San Giuseppe” ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ リゼルヴァ 1990年 赤 750ml
DOCGゾーンの中心に位置する特別な畑、「San Giuseppeサン ジュゼッペ」より収穫。厳しい選別を行ったブドウのみ、果皮と共に2週間、野生酵母による醗酵を促す。圧搾後、大樽(20~30hl)にて7年以上の熟成。収穫に恵まれた最良年のみボトル詰めされる、先代ジュゼッペ ファネッティが造る最高のヴィーノ ノービレ リゼルヴァ。1990はヴィーノノービレに限らずトスカーナ全土で最高評価の年。30年以上の歳月にも耐えられる、美しく磨き上げられた果実。これほどのワインが素晴らしい状態で保存されていることに、心から感謝する味わいです。
ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ リゼルヴァ
1982年 赤 750ml
1915年に彼女の祖父であるアダモ ファネッティが定めたヴィーノ ノービレの醸造方法。
ファネッティの地下セラーで、ストックしてあったバックヴィンテージの中から、今回1982ヴィンテージを分けていただきました。当主であるエリザベッタの希望に従い、ワインが落ち着くのを待ち、キャップ、液面をすべて確認。そこで汚れやほこりなど程度を確認しつつ1ずつラッピングした状態でお送りします。
1996年の収穫より、現当主エリザベッタの父、ジュゼッペ ファネッティが醸造。この年に故エリザベス2世に贈呈した際に、記念として造られたエチケッタを復元。収穫後、約3か月陰干しを行い圧搾。カラテッリ(50~100Lの小型の木樽)に移し、完全に密封。2階の倉庫にて醗酵が完全に終わるまで最低でも10年以上を費やして造られる「聖なるワイン」。カンティーナで保管していたカラテッリより、2022年にボトル詰め。DOCを取っていないが、ヴィンサントとしての本質を完璧に表現した、本物のヴィンサント。
実はワイン造りだけでなく、オリーヴの栽培・オイルも作り続けてきたファネッティ。収穫は11月下旬より、すべて手摘みで1本の樹からの搾油量がとても少ない。
2023は雨の影響で収穫量が激減したヴィンテージ。特有の辛味やスパイス感は少し控えめ。その分ジュースのような甘みと柔らかさを感じる繊細な味わい。標高の高いモンテプルチアーノらしい酸と繊細さを持ったファネッティのオイルは、食事とのバランス感を考えたブレンド。地元ではワイン以上に評判というオリーヴオイル。(酸度0.2%)