Emilia Romagna
Jacopo Stigliano
ヤコポ スティリアーノ
ボローニャの伝統と未来を繋ぐ新世代、偉大な先人たちに敬意を捧げる若き造り手
ボローニャに生まれたヤコポ、両親の影響もあり若くから海外に目を向け、バックパックで世界を放浪した過去を持つ。家族はワインに関係のない仕事をしていたものの、幼い頃より地元の農業、特にワイン造りに強い興味を持っていた彼。地元でも数少ない伝統や職人的気質をもった造り手の元を訪ね歩きました。中でも彼が敬愛する造り手はモデナのVittorio Grazianoヴィットーリオグラツィアーノ、ボローニャのGradizzoloグラディッツォーロとErioliエリオーリ。彼らの元で働き、土地のブドウ栽培、伝統的なワイン造りを学ぶだけではなく、造り手、人として多くの事を学んだと話すヤコポ。
中でも彼にとっての転機となったのは、ErioliのGiorgio Erioliジョルジョ エリオーリが持っていた樹齢100年越えのブドウ畑を受け継いだことにある。「アリオンサやモントゥーニ、アルバーナにバルベーラ、現在ではほとんど見られなくなったボローニャの地品種。一部は自根のまま残り、現在でもなおブドウを実らせる。現代は単一のブドウ品種でワインを造るのが主流だけれど、古くは多種のブドウを混植するのが常識だった。それぞれのブドウが毎年の気候や変化に対応し、変わらない美味しさ、味わいのあるワインになる。元来ワインは酔うための嗜好品ではなく、重要な食料として存在していた時代。毎年必ず造られなければいけなかった。土地の伝統とは、それぞれの品種を表現する事よりも、当時のような混植の古いクローンのブドウ樹を尊重し、混醸することで感じられる一体感こそが、ボローニャの個性と呼べるのではないか?」、そう考えるヤコポ。標高200~300mの丘陵地にある高樹齢の畑。1.3haあるものの、すでに死んでしまった樹も多く残ったブドウ樹は少ない。樹齢の古さだけでいうのであれば、100年を越える古樹は早々存在するものではありません。しかも、クローン選抜等されておらず、自根のまま残る樹も少なくない。土壌は強い粘土質と石灰質が入り混じり、果実的でいて十分なミネラル分をも持つ。畑では一切の薬品類を使用せず、毎年最低限の銅と硫黄物のみ。
高樹齢の畑ではトラクターが入れないこともあり、雑草や下草の処理はすべて手作業で行う過酷さ。ヤコポが引き継いだ2018年よりも前、ジョルジョが所有していた時からすでに、農薬などを使われたことはなく、表土も極力耕転しない。周囲には数多くの果樹も混植され、生物的環境がバランスしている状態。「自分から見たら、この畑は本当に素晴らしい、人の手による介入は極僅か、樹それぞれがバランスしている。ただ、当然かもしれないけれど収穫量は決して多くない。このボローニャでは、他の地域と比較してもブドウ、ワインの価値が低い、、。だから収穫量の見込めないこの畑は、99%の栽培農家にとって価値がないものだと判断されてしまう。この重大な問題を何とかしたい。この土地の文化、伝統、本当の価値をもう一度知ってほしい」、そう熱く語る彼。近所の同世代の造り手KOIコイのフラヴィオと共同で立ち上げたワイナリーSamodiaサモディアも、このヤコポの考えるフィロソフィを色濃く表しています。この高樹齢の畑以外にも、2021年に樹齢30~60年のブドウ畑を手に入れ、合計2.1haより4000本程度の生産。
収穫はすべてのブドウの成熟を見届け、タイミングを見て合わせて収穫しすべて合わせて混醸を行っています。2018~2023までは以前働いていたGradizzoloグラディッツォーロのカンティーナを間借りし、大型のセメントタンクにて果皮と共に醗酵を行います。2024年よりKOIコイのフラヴィオのカンティーナに移り醸造するようになりました。グラディッツィオーロの当主アントニオからは、まるで自分の息子のように可愛がられていたヤコボ。移動する際に借りていた40年以上使われているセメントタンクをアントニオから譲り受けたというもの、それを実証するエピソードかもしれません。独り身で作業が大変なヴィットーリオ(Vittorio Graziano)の元へは、選定や収穫はもちろん、オリ引きやボトル詰めを夜通し手伝ったり、ジョルジョ(Erioli)の元へも良く通っていたヤコポ。単なる尊敬ではなく、3人の偉大なる造り手を敬愛し、同じ時を過ごす中で、ワイン造りだけではない伝統や哲学を見て学んできたと言えます。
ヤコポが最も重要と考えている、高樹齢のブドウ畑より収穫したブドウを混醸によって醸造。そして、熟成にも十分な時間を必要と考えています。セメントタンクにて24か月、ボトル詰め後12カ月の熟成。造られるワインは2つ、複数の白ブドウより造られるBrianaブリアーナと、黒ブドウを中心としつつも一定量の白ブドウを加えるHiraethヒライス。古くは赤ワインを造る際に、濃く、重くなりすぎないために行われてきた手法(クラレットやチェラスオーロ)をオマージュした淡い色調の赤ワイン。そしてワイン造りにおいては酵母添加、温度コントロール、そして一切のSO2の添加を行いません。ブドウのみでの表現は、Samodiaサモディア、そしてKOIコイのフラヴィオと同じワイン観を持っています
ワインから感じるものは、単なる品種の特徴や個性といった類ではない、もっと複雑でいて非常に親近感を感じます。ただ、それだけでは終わらないゆっくりと柔らかく続く余韻と複雑さ。他のどのワインにも当てはまらない深い味わいを感じます。ボローニャという土地に生まれ、その土地の伝統やワイン造りを若くから愛している。そして土地の先人たちを敬愛し、身をもって学んできたヤコポ。その経験や独自の感性を、妥協することなく表現したBrianaとHiraeth。エミリア=ロマーニャ、そしてボローニャの未来を照らす、次世代を担う造り手の一人です。
樹齢100年を越える高樹齢の畑に残るブドウ品種:白(12種、トレッビアーノモデネーゼ、トレッビアーノロマニョーロ、トレッビアーノディスパーニャ、グレケット(ピニョレット)アリオンサ、ソーヴィニヨンブラン、シャスラードレ、モントゥーニ、ヴェルディッキオ、モスカートディ・テッラチーナ、アルバーナディロマーニャ、アルバーナグロッサ、フォルチェッラ)、・赤(8種、ランブルスコグラスパロッサ、バルベーラ、ネグレッティーノ、ウーヴァトスカ、サンジョヴェーゼデイロマーニャ、マルツェミーノ、アンチェッロッタ、フォルターナ)
Lineup
それぞれのブドウの成熟を待ち、合わせて収穫を行う。除梗し大型のセメントタンクにて1週間、果皮と共に醗酵。圧搾しそのままセメントタンクにて24か月、ボトル詰め後12カ月の熟成を取ってからリリース。全てにおいて一切の添加を行いません。イタリアの古い民衆の伝統、そして「ワインはセラーではなく畑で造るもの」という昔のブドウ栽培農家の基本ルールに従い、全品種を同時に収穫・混醸。名前には3つの異なる意味が込められています。嵐、混在するカオス、そして草原。様々な要素が混ざり合い、共存するという意味合い。