Winery

ワイナリー

Campania

Monte di Grazia

モンテ ディ グラツィア

世界遺産にも登録された「世界一美しい海岸」と呼ばれる、アマルフィより北に7Km、険しい山道の先にあるトラモンティの町。アマルフィ海岸より直線距離で僅か5㎞でありながら、町の中心部の標高でさえ400mを越えます。ブドウ畑は500m~700mと非常に標高の高いところにあります。当主であるアルフォンソ アルピーノは、ホームドクターとして人々の健康を管理しながら、土地に残る伝統的なブドウ栽培とワイン造りを守るため、ワイナリーを営んできた人物。そんな父の姿を見て育った息子であるフォルトゥナ―ト。幼いころより父の後についてブドウ栽培を手伝ってきたこともあり、トスカーナ州ピサの大学で農業を専攻し、2015年よりアルフォンソより引き継ぎ、ワイン造りを行っています。

厳しい急こう配と、火山性の砕石を含んだ貧しい土壌。決して豊かとはいえないこの土地で暮らす人々が、暮らしの中で生み出してきた農業、そして生きるためのワイン造り。先祖から引き継いだ畑(Monte di Grazia)を中心に現在4haのブドウ畑。地表から1.5~1.7mほどの高さで放射線状に広がる棚仕立て、Raggieraラッジェッラ仕立てと呼ばれる棚仕立ては、樹の中心や合間から日光が地表に当たるため、果実自体の生育が良いのはもちろん、地表でも他の野菜の栽培ができる伝統的な手法です。

一般的に棚仕立てというと、新梢も多く結実も多い、、結果、収穫量が非常に多い印象がありますが、樹齢50年以上、中には100年を越える樹も少なくない彼らの畑では、棚仕立てとは思えないほどの収穫量の少なさ。畑によって多少違いはありますが1haあたり3t~と聞けば、その少なさには驚いていただけると思います。「根より離れた位置で結実するこの仕立て、常識的に考えてもグイヨーのような低い仕立てに比べ、土地のエネルギーが果実に届きにくい。さらに土地に溜まった日照、熱が果実に伝わらずブドウの熟度が上がりにくいって言われてきた。でもこの10年~15年で平均気温も上がり、むしろ長い時間をかけて果実が熟成させることが出来るようになった。」そう話すフォルトゥナート。例年猛暑が続いていても、収穫は10月下旬~11月まで続くことも少なくないといいます、、。

個性的な土壌、伝統に倣った仕立てだけでなく、このトラモンティの独自性には、オリジナルのブドウ品種についても知っていただく必要があります。黒ブドウであるティントーレ、ギリシャ時代より残ると言われているブドウでソレント半島、このトラモンティ近郊に飲み残っていると言われるブドウ。他にも白ブドウであるペペッラなど、3方を海で囲まれ、残り1方もヴェスヴィオ火山由来の強い火山性土壌(軽石、砕石、砂を強く含む)によって、フィロキセラの被害を免れた特殊な土壌環境を持っています。実際に、モンテディグラツィアの持つ高樹齢の畑においては、そのほとんどがピエディフランコ(自根)の状態で残っています。結実が悪く収穫量が基本的に少ない、そして成熟の遅いティントーレやペペッラ。他にはない独自の個性を持ったブドウと、樹齢100年を越える古いブドウ畑を守ってきた父、アルフォンソの意志を受け継ぎ、その個性的なブドウ品種の特徴を表現するための醸造を考え始めたフォルトゥナート。

2010年頃より、醸造において培養酵母の添加や、醗酵中の温度コントロールを段階的に行わなくなったアルフォンソ。しかし、専門的な知識や経験値の無さから、どこか確証がなかったと漏らすアルフォンソ。しかし農学を学んできたフォルトゥナ―トが加わったことで、畑での作業の質、土壌環境の改善だけでなく、醸造においても明確な意思を持つようになった直感しました。フォルトゥナート曰く「ティントーレは非常にマイナーで個性的でありながら、まだその本質を伝えるようなワイン造りが行えていなかった。晩熟であるこの果実が、その本来の姿を見せるためには、圧倒的に【時間】が足りなかった」。
父であるアルフォンソを心から尊敬し、父が守ってきたものをより磨き上げ、形を大幅に変えるのではなく昇華させるかのようなフォルトゥナ―トのワインへのフィロソフィ。ティントーレの可能性と性質を読み解き、ワイン造りには時間が必要と結論付けた彼。今まで以上に時間を費やしたワイン造り。そして、新しい世代ならではの価値観やアイデアによって生まれた新しいキュヴェ。改めてもう一度、この小さなワイナリー「モンテ ディ グラツィア」について知っていただきたい。土地やブドウの個性は言葉で語るものではない、その味わいにこそ、感じるべきもの。その核心がある魅力あふれるワイン、そして造り手です。

Lineup

MDG0003 Bianco ビアンコ 2022年 750ml
ビアンカ テネーラ40%、ジネストラ40%、ペペッラ20%、樹齢15~60年。ブドウ品種ごとに収穫を行う。収穫の遅いペペッラのみ、果皮と共に約半日のマセレーションを行う。圧搾後、果汁だけの状態で醗酵。ステンレスタンクで12カ月、ボトル詰め後6カ月の熟成。2022年は猛暑&雨のヴィンテージ。収穫は遅く10月中旬を過ぎてから。それでも糖度は上がらず、アルコールは11%程度と低く仕上がりました。計24か月以上の熟成期間を取ったことで、鋭い酸だけではなく、果実由来の香りやと土地のミネラル分、スパイスやスモーク香のような特徴を見せる白。
MDG0103 Spurtiglione Bianco スプルティリオーネ ビアンコ 2022年 濃白 750ml
ビアンカ テネーラ40%、ジネストラ40%、ペペッラ20%、樹齢60年~標高600mの畑の収穫が中心。
ペペッラのみ果皮と共に5日間の醗酵。他のブドウは圧搾し果汁のみの状態で醗酵を行う。その後ステンレスタンクで24カ月、ボトル詰め後6カ月の熟成。2022年は猛暑と長雨という極端な天候にも関わらず、成熟した果実を収穫。火山性土壌由来のミネラル、スパイスや柑橘のニュアンスを感じつつも、果皮由来のタンニンにより一体感ある味わい。通常のビアンコと比べても、非常に違いを感じる特徴的な味わいです!
MDG0201 Rosato Campania IGT ロザート IGT 2021年 ロゼ 750ml
ティントーレ90%、モッショ10%、樹齢30~120年。
収穫したブドウは直接プレスを行い、果汁だけの状態で醗酵を行う。果肉に色素を持つティントーレの特徴を生かした、フレッシュさと鮮烈な酸と果実味を持ったロザート。
MDG0302 Rosso Melogna ロッソ メローニャ 2022年 軽赤 750ml
ピエディロッソ60%、ティントーレ・ディ・トラモンティ30%、モッショ4%、オリヴェッラ3%、シャシノーゾ3%、樹齢30年標高600mの畑。収穫したブドウを果皮と共に6日間のマセレーション、圧搾しステンレスタンクで醗酵を終える。ステンレスタンクで12カ月、ボトル詰め後6カ月の熟成。マセレーションの期間をあえて短く、果実のフレッシュさ、飲み心地を意識した赤。タンニンは若くも決して嫌味ではなく、強い酸とフレッシュな果実に良いバランス感を与えてくれます。
MDG0402 Rosso Campania IGT ロッソ IGT 2017年 750ml
ティントーレ90%、ピエディロッソ10%、樹齢30~120年。標高300~600mにある高樹齢の畑。収穫したブドウは果皮と共に2~3週間の醗酵。圧搾し一部を地元の栗の木樽にて36カ月の熟成、ボトル詰め後24カ月の熟成。
2017年は猛暑と水不足のヴィンテージ。10月下旬まで収穫を待って、ようやく成熟した理想的なティントーレ。例年は糖度が上がらず11%程度のところ、初めて14%を達した年。それでも糖度が高いだけではなく、タンニン、フェノール熟成も見られる素晴らしいヴィンテージ。
MDG0501 Rosso “linu” ロッソ リヌー IGT 2017年 750ml
ティントーレ100%、樹齢120年以上。標高450m、マドンナデルカルミネの高樹齢のブドウ樹を厳選。10月末、最後の収穫。果皮と共に2~3週間の醗酵。圧搾しステンレスタンクにて48か月、ボトル詰めし48か月の熟成。
猛暑のヴィンテージ、樹齢100年を越える古樹のみ選別し、樹上にて完熟しきったティントーレ。初めて単一表現した特別なワイン。最良年のみ醸造。アルコールも高く14.5%、それでも果実として非常に濃密でありながら酸がしっかりと残っている。そして果実的な成熟も高く、フェノール香、酸の熟成も感じられる素晴らしいバランス。
MDG9001 Pomodori di Tramonti ポモドーリ ディ トラモンティ 2024年 ホールトマト 400g
コルバリーノ60%、チェントスコッケ20%、、、ナポリやアマルフィ近郊の自品種。標高550mのティントーレのブドウ畑の畝の間で栽培したトマト。収穫後トマトは潰さずそのまま加え、潰したジュースで満たしたジュース漬け。ワインにも感じる土地由来の強い酸と、香り豊かで味わいのあるトマトです。
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