Friuli Venezia Giulia
Skerlj
スケルリ
トリエステ近郊、サレス。若き当主マテイ スケルリはCarsoカルソと呼ばれる、強烈な個性を持つ土地にて、2008年よりボトル詰めを開始。
2004年より自ら開墾した畑は、分厚い石灰岩を削岩機で砕くという途方もない作業を行い、畑では一切の薬品類、化学肥料、堆肥さえも使用せず。周囲の自然環境を尊重した栽培を行う。醸造は白ブドウを開放式の大樽にて、約2~3週間のマセレーション。途中一切の温度管理・SO2の添加を行わない。それがたとえ醸造学的に「危険」と言われる状況であっても、自身の感性を優先した醸造を徹底している。土地由来の強いミネラルと可能性、それでいてどこか親しみやすい雰囲気、サレスのワイン造りを担う若き造り手。
トリエステから北西に 10 km、内陸の町サレス。海までは 15 kmと離れていて、スロヴェニアとの国境までは 23 kmと近い。標高は 260 300 m、大地のほとんどが固い岩石 石灰岩 、岩盤質でできており、表層土がほとんどないのが特徴。カルソ地域はこうしたカルスト地形、石灰岩、鍾乳石などの水溶性の岩石が覆い尽くす土地。そのため、現在ある畑はすべて人工的に造られたもの。上の岩石を取り除いて、海岸の町(ドゥイーノ)から赤土を運び入れて作った。また雨が少なく、そして何より冬に吹く強い風ボーラ( Bora )は風速 150 km、 気温はマイナス 8 ℃にもなり、立っていられないほどの強い風は、植物の栽培にとってかなり厳しい環境を作りだしている。オリーヴなど根の深く伸びない樹は簡単に倒れ てしまう 、建物も風に強い石造りの街並みも特徴的。
ほとんどの土地はこの石灰質の岩盤 に覆われ ており 表層土が 全くない ため、伝統的に農業よりも畜産、放牧といった産業が盛んにおこなわれてきた地域。サレスの町に、今でも残っている地域伝統のオスミッツァ を現在も続けているスケルリ家。地域の現実的な問題(離農、人口減少、食文化の希薄化、、、 etc の中、薄れていくオスミッツァの文化。 このサレスの文化・伝統を愛し、本気で残したいと立ち上がった次期当主こそ、マテイ スケルリである。2006 年、まだ 27歳と いう若さでありながら 、 自家醸造用の1 ha の畑を基本に周囲の放棄されたブドウ畑(高齢化、離農が進み、多くの畑が手入れさえされていない)を借り、自家醸造 ・ ボトル詰め 用のワインの生産を 開始。
畑は代々引き継いできた樹齢の高い畑( 40 60年)が 0.6ha 、他には 2003 年、 200 6 年と自ら切り開いた畑が各 0.5ha 。どちらも放棄地をゼロから開墾(地中にある分厚い石灰岩層を削岩機で砕き、表土は近隣に点在する Duline と呼ばれる場所より赤土を運ぶ、という途方もない作業、、。)、高密植、アルベレッロ仕立てにてヴィトフスカ、マルヴァージア イストゥリアーナを植樹。テッラーノは樹の特徴 からグイヨーに仕立てる。開墾当初のみ、微量ながら堆肥を使用したものの、高樹齢の土地や 2 年目以降の畑では一切の肥料、堆肥を使わない。もちろん薬品類も一切使用せず、最低限の銅と硫黄物のみ。基本的には畑の自然環境を整えることで土地自体のバランス感、しいてはブドウ樹の自己管理能力を高めることを尊重。収穫した果実は除梗したのち、開放式の大樽にて約 2 週間 のマセレーション。野生酵母による醗酵を行う。
果皮の恩恵を受けたヴィトフスカ、マルヴァージア、それでいて全くと言っていいほど「強さ」というものを感じない。 土地由来の重厚なミネラル分を持ちつつも 圧倒的なしなやかさ、親しみやすさを持ったワイン。 マテイ曰く「 自分にと ってのワインとは、偉大な物 と いうよりも、もっと昔から身近にあったものなんだ。自分の開墾した畑の成長とともにワインの力も増していくと思うけど、このサレスのワイン、オスミッツァの雰囲気を忘れないワインを造り 続けて いきたいと思う。 」、 経験値の少なさ、畑の若さをものともしない、マテイの 柔軟かつ、感覚的な 栽培・醸造哲学。土地への強い愛情と、地域の伝統を守る彼の決意と行動に心からの敬意と表したい。
Lineup
収穫後、開放式の大樽にて3週間、果皮と共にアルコール醗酵を終える。圧搾後も大樽にて24か月、ボトル詰め後6か月以上熟成。
2021年は天候に恵まれ、強い果実味と酸が共存したバランスの良いヴィンテージ。非常に繊細でありながら、時間がたつごとに開き、膨らむ果実と長い余韻。まさにヴィトフスカの個性が際立つ素晴らしい味わいです!
収穫後、開放式の大樽にて3週間、果皮と共にアルコール醗酵を終える。圧搾後も大樽にて24か月、ボトル詰め後6カ月以上熟成。糖度が高いだけでなく、酸も十分に維持した状態で収穫。果実のヴォリュームとアロマティックさ、そして土地由来の酸とミネラルの理想的なバランス。他の地域では決して出会えない、魅力を持ったマルヴァジーアです!
収穫後、開放桶にて約2週間、果皮と共に醗酵を行う。圧搾後、木樽(500L)にて約18か月、ボトル詰め後30か月以上の熟成。ブドウ由来の高い酸によってワインが守られると考えたマテイ、現在はほとんどSO2を添加せずにボトル詰め。
2019は天候に恵まれながらも、酸の残ったヴィンテージ。酸が高すぎる事で有名なテッラーノ、収穫量を抑え種子まで完熟を待ってから収穫。他の白よりも2年ほど、長く熟成期間を取っていることで、酸の奥に隠れがちな複雑さや、ブドウ由来のユニークな魅力を感じられる状態。他にはない個性と旨味を持った赤。
収穫後、開放桶にて約2週間、果皮と共に醗酵を行う。圧搾後、木樽(500L)にて48か月、ボトル詰め後18か月以上の熟成。
2018、近年稀に見る猛暑となったカルソ。例年は表現できない「強い果実」を持ったヴィンテージ。樹齢の一番古い区画のトノー(木樽)1つだけ、合計48カ月の熟成。ブドウ自体のポテンシャルの違い、土地由来の酸と猛暑による高い糖分が高次元でバランス、そしてさらに樽でじっくりと熟成を経たテッラーノ。サイズの違いを十分に感じる特別なテッラーノ。
2003年に植えたアルベレッロの畑より選別した
ブドウのみを収穫。除梗し、カルソの石灰岩の塊をくりぬいて作った「石樽」の中で、果皮と共に醗酵。そのまま12か月間果皮と共に熟成。圧搾後、オリ引きを行い大樽へ移しさらに12か月の熟成。ボトル詰めの際にごく僅かにSO2を加える。ブドウが育った土地そのものである石灰岩の容器で醸造することで、よりブドウに余分な要素を加えないという発想から生まれた、特別なヴィトフスカ。柔らかく繊細でありながら奥行きの深さ、そして余韻の長さには驚嘆させられる凄味のある味わい。
収穫後、除梗した果実をそのまま木樽へ。果皮と種子と一緒の状態で24か月間醗酵~熟成。途中オリ引きも全く行わず、果皮と種子を取り除きオリと共にボトル詰め。果皮、オリによって守られることで、SO2を使わずに醸造した、ヴィトフスカ、さらには果皮の可能性を証明した実験的ワイン。
収穫後、果皮と共に約2週間、野生酵母による醗酵を促す。醗酵が終わった時点で最もアルコール度数の高い一樽のみ、ボトル詰めせずに、更に24か月間熟成。非常に酸の高いテッラーノは保存のためのSO2を必要としない。これまでで最も完熟した11年、スケルリにとって特別なテッラーノ。